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肥厚性瘢痕・ケロイド

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
深水秀一 (浜松医科大学医学部附属病院形成外科病院教授・准教授)
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  • ■疾患メモ

    肥厚性瘢痕とケロイドは,ともに赤色調の硬い隆起性病変であり,創傷治癒過程で何らかの異常または体質的な要素によって,膠原線維が過剰に増生したものである。広義のケロイドは肥厚性瘢痕(瘢痕ケロイドともいわれる)と特発性ケロイド(真正ケロイド,狭義のケロイドともいわれる)に分類される。本項で述べるケロイドはこの特発性ケロイドを意味する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    肥厚性瘢痕は,一般的には真皮以下の深さの外傷を契機として生じ,関節部などに生じた長軸方向の瘢痕や熱傷など創傷治癒過程が亢進した状態が原因となる。外傷部位を越えて進展することは稀である。

    ケロイドは,挫瘡や虫刺症,予防接種など軽微な傷が引き金となるなど,患者が外傷の既往に気づいていないことが多い。受傷部を越えて周囲の健常皮膚へ進展するが,中央部はしだいに平坦化する特徴がある。体質や素因が病態に関与しており,前胸部や上背部,上腕外側に好発し,治療に抵抗性を示す。

    肥厚性瘢痕,ケロイドともにかゆみや圧痛を伴うことが多いが,特にケロイドでは側圧痛が特徴的である。

    両疾患とも関節などでは拘縮による機能的障害をもたらすことがある。

    【検査所見】

    血液検査や画像検査で特別なものはない。

    病理組織検査で両疾患を鑑別することは難しい。

    隆起性皮膚線維肉腫など軟部悪性腫瘍との鑑別を要することがある。この場合,ケロイドの悪化を避けるため病変内で生検を行う。

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