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つつが虫病

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-21
岩崎博道 (福井大学医学部附属病院感染制御部・感染症膠原病内科)
田居克規 (福井大学医学部・内科学1,同附属病院感染制御部・感染症膠原病内科)
酒巻一平 (富山大学感染予防医学講座,感染症科講師)
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  • ■疾患メモ

    つつが虫病は年間400例程度の届け出があり,わが国において最も高頻度のリケッチア症として知られる。野山に生息するツツガムシの幼虫がベクターとなり,その刺咬の際に病原体であるOrientia tsutsugamushiが皮下に注入される。5~14日後にリケッチア血症に至るが,その間が潜伏期となる。発熱や発疹をきたす頃には,特徴的な刺し口が形成され,診断のための重要な所見となる。春または秋に発症することが多い。

    治療はテトラサイクリン系薬が第一選択となり,多くは著効する。しかし,適切な抗菌薬が選択されないと重症化し死亡例もみられる。北海道を除く全国で報告を見る。本症は感染症法の4類感染症に分類され,診断されれば直ちに保健所に届け出る必要がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    急性の発熱,発疹および刺し口の存在が3主徴である。刺し口()は発熱時には中心部に痂皮を形成し,直径1cm程度の目立つ大きさになっていることが多く,毛髪に隠れた頭皮や下着で覆われた部位を含む全身の皮膚を調べることが重要である。刺し口の近傍に有痛性のリンパ節腫脹を認める例もある。悪寒,頭痛,全身倦怠感を伴うことが多い。発疹は体幹部に多い傾向にある。病原体は血管内皮細胞に感染し,血管炎を惹起するため,その感染臓器として肺や肝臓,時に中枢神経に病変を生ずる。

    12_49_つつが虫病

    重症例において多臓器不全(multiple organ failure:MOF)を呈することがあるが,その背景には高サイトカイン血症を示す例が認められ1)2),全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)に関連する病態と考えられる。

    【検査所見】

    確定診断には,間接免疫ペルオキシダーゼ法による抗体の検出(IgM抗体の検出またはペア血清によるIgG抗体価の有意な上昇)が有用である。

    本病原体には様々な血清型が存在し,Kato,KarpおよびGilliamの標準3型に加え,近年Kuroki(またはHirano),Kawasaki(またはIrie)およびShimokoshi型の新しい型も報告されている3)

    Kato型はアカツツガムシが媒介する。KarpならびにGilliam系の型はフトゲツツガムシが,Kawasaki型はタテツツガムシがそれぞれ媒介すると考えられている。さらに,血液を用いた分離・同定による病原体の検出や,刺し口の瘡蓋からのPCR法による病原体遺伝子検出も用いられる。

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