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腸チフス

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
大西健児 (荏原病院副院長)
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  • ■疾患メモ

    チフス菌(Salmonella enterica subspecies enterica serovar Typhi,略してSalmonella serovar TyphiあるいはSalmonella Typhi)の感染症である。感染経路は経口で全身の感染症を起こす。

    3類感染症に指定されており,腸チフスの患者および無症状病原体保有者を診断した場合や,それらの死体を検案した医師は直ちに管轄保健所へ届け出る義務がある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    感染してから発症するまでの潜伏期間は1~3週間である。

    発熱,下痢,便秘,腹満,腹痛などがあり,発熱が主症状である。発熱で発症し,それが2週間位続いた前後に下痢や便秘となる。右下腹部痛がみられることがある。また,腹部膨満が出現し重症例では3週目位に腸出血がみられ,さらにより重症例では腸穿孔をきたすことがある。未治療であった場合,発熱は4週間前後続く症例が多い。

    【検査所見】

    血液,便からチフス菌を検出することで診断する。発症1~2週目では便よりも血液のほうが検出率が高い。

    血液検査で白血球数減少(分画で好中球の割合増加,好酸球の割合減少)がみられ,回復期には好酸球数,リンパ球数が回復する。しかし,病初期には白血球数増加がみられることもある。発熱期にCRPの上昇を認める。

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