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RSV感染症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-19
中河秀憲 (淀川キリスト教病院小児科副医長)
宮入 烈 (国立成育医療研究センター生体防御系内科部感染症科医長)
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  • ■疾患メモ

    RSV(respiratory syncytial virus)は,主に乳幼児(特に2歳以下)に細気管支炎を起こすウイルスである。

    日本では主に秋から春にかけて流行し,2歳までにほぼ全員が感染するとされる。特異的治療法はない。

    二次的な合併症として中耳炎や肺炎などをきたしうる。

    基礎疾患のある児の感染・重症化予防目的に抗RSVヒト化モノクローナル抗体であるパリビズマブ(シナジス®)の投与が行われている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    2~8日(典型的には4~6日)の潜伏期の後,上気道症状としての鼻汁・咳嗽で発症し,続いて細気管支炎の症状として多呼吸・陥没呼吸・呼気性喘鳴などを呈する。慢性の呼吸器疾患や先天性心疾患を基礎疾患として有する児においては重症化しうる。また,新生児が罹患すると無呼吸発作をきたすことがある。合併症として,RSVによる,または二次的な細菌性の中耳炎・肺炎をきたすことがある。

    【検査所見】

    RSV感染症に特徴的な血液検査所見はない。炎症反応の数値は比較的低いとされるが,二次的な細菌感染症を合併すると上昇することがある。

    胸部X線での過膨張所見が細気管支炎の特徴とされ,他に細気管支周囲の壁肥厚や無気肺がみられる。

    診断としては後鼻腔スワブを用いた迅速抗原検出キットが汎用されており,感度・特異度ともに高い。他に,ウイルス分離,polymerase chain reaction(PCR)検査,抗体検査があるが,診断に用いられる頻度は少ない。

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