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汎下垂体機能低下症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-16
波多野雅子 (埼玉医科大学内分泌内科・糖尿病内科外来医長)
片山茂裕 (埼玉医科大学かわごえクリニック院長/埼玉医科大学理事・名誉教授)
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  • ■疾患メモ

    視床下部─下垂体領域の障害により,下垂体前葉ホルモンの分泌が障害される疾患である。原因疾患として下垂体腫瘍が多く,ついで特発性,頭蓋咽頭腫,胚細胞腫が挙げられる1)

    内分泌学的なコントロールと評価に並行して画像評価を行うことが肝要である。

    性腺機能低下症や低身長のほか,特有な症状がないため,精神科疾患や消化器疾患,慢性疲労などとして診療を受けることがある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    非特異的な症状が多い。腫瘍による頭痛や視野異常のほか,複数の下垂体前葉ホルモンの分泌低下が生じ,それぞれのホルモン欠乏症状を認める。

    副腎皮質機能低下症(倦怠感,食欲不振,低血圧,低血糖,低Na血症),甲状腺機能低下症(耐寒性の低下,便秘,徐脈),性腺機能低下症(二次性徴の欠如または進行停止,月経異常,恥毛・腋毛の脱落),成長ホルモン分泌不全(小児では低身長,成人では肥満,易疲労感,不活発),プロラクチン欠乏(産褥期の乳汁分泌低下)などを認める。

    【検査所見】

    下垂体前葉ホルモンの基礎値(ACTH,TSH,LH,FSH,GH,PRL)ならびに標的内分泌腺ホルモン(コルチゾール,甲状腺ホルモン,性ホルモン,IGF-1)の基礎値の低下を認める。

    PRLは障害部位によって高値を呈する。

    下垂体前葉ホルモンは,負荷試験による分泌能が低下している。

    腫瘍性の場合は,視床下部から下垂体にかけてのいずれかに占拠性病変を認める。

    特発性の場合は,画像上に変化は認めない。

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