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自己免疫性溶血性貧血

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
亀崎豊実 (自治医科大学地域医療学センター地域医療支援部門教授)
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  • ■疾患メモ

    自己免疫性溶血性貧血(autoimmune hemolytic anemia:AIHA)は,自己抗体によって赤血球破壊(溶血)が亢進することにより生じる後天性溶血性貧血である。

    自己抗体が赤血球と反応する至適温度が,体温近くの場合は温式,4℃前後の場合は冷式に分類し,冷式はさらに寒冷凝集素症(cold agglutinin disease)とDonath-Landsteiner(DL)抗体を有する発作性寒冷血色素尿症(paroxysmal cold hemoglobinuria)に分類する。

    100万人に数人程度の発症率で,温式AIHAが最も多く(90.4%),寒冷凝集素症がこれに次ぎ(7.7%),発作性寒冷血色素尿症はきわめて稀(1.9%)である。

    基礎疾患(自己免疫疾患,リンパ免疫系疾患,感染症,悪性腫瘍など)の有無により続発性と特発性にわけられる。

    20%程度で特発性血小板減少症を合併し,Evans症候群と呼ばれる。

    温式AIHAに寒冷凝集素症を合併している場合は混合型に分類される。

    温式AIHAでは,IgG型の自己抗体が結合した赤血球が主に脾臓で破壊される(血管外溶血)。

    寒冷凝集素症では,寒冷に曝露されると四肢末端部で寒冷凝集素(immunoglobulin M:IgM)が赤血球を凝集させることにより末梢循環障害,レイノー現象などを引き起こすと同時に補体が赤血球に結合し,主に肝臓で赤血球が破壊される(血管内溶血)。大量の補体が結合すると急激な血管内溶血もみられる。

    発作性寒冷血色素尿症のDL抗体(IgG型)は寒冷下で赤血球と結合し,体幹部で加温されると補体が活性化され血管内溶血をきたす。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    通常,貧血と黄疸を認め,しばしば脾腫を触知する。ヘモグロビン尿や胆石を伴うことがある。

    温式AIHAの臨床像は症例差が大きい。貧血は高度が多く,黄疸もほぼ必発だが肉眼的には比較的目立たない。

    寒冷凝集素症では,寒冷曝露による溶血の悪化や慢性溶血がみられる。

    発作性寒冷ヘモグロビン尿症では,ヘモグロビン尿を特徴とする。小児のウイルス感染後に発症する急性型が主体で,多くは発症から数日~数週間で症状は消失し,慢性化や再燃は認められない。

    【検査所見】

    溶血性貧血としての一般的基準(ヘモグロビン低下,網赤血球増加,間接ビリルビン増加,ハプトグロビン低下など)を満たし,直接Coombs試験が陽性である。

    温式AIHAでは,特異的直接Coombs試験でIgGのみ,またはIgGと補体成分が検出されるが,抗補体または広スペクトル抗血清でのみ陽性のこともある。

    寒冷凝集素症では,血清中に寒冷凝集素価の上昇があり,直接Coombs試験では補体成分が検出される。

    発作性寒冷ヘモグロビン尿症では,血清中に二相性溶血素(DL抗体)が検出される。

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