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下垂体腫瘍

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-05
寺本 明 (東京労災病院院長)
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  • ■疾患メモ

    下垂体腫瘍は,原発性脳腫瘍の21%を占め,髄膜腫(27%),神経膠腫(グリオーマ)(26%)についで3番目に多い脳腫瘍である1)

    ホルモン産生の有無(臨床的に把握できる範囲)により,非機能性腺腫と機能性腺腫に大きく分類される。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    非機能性腺腫:視力視野障害と下垂体前葉機能障害が主症候である。前者は,両耳側1/4半盲から両耳側半盲へと進行する。後者は,易疲労感,性欲減退,月経不順など。MRIの普及によって偶然発見される無症候例(偶発腫:incidentaloma)も多い2)

    成長ホルモン(GH)産生腺腫:先端巨大症(acromegaly)と小児発症例(稀)では巨人症(gigantism)。

    プロラクチン(PRL)産生腺腫:乳汁分泌と無月経。男性では性欲低下や勃起不全。

    副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生腺腫:クッシング症候群。

    甲状腺刺激ホルモン(TSH)産生腺腫:軽度から中等度の甲状腺機能亢進症状。

    性腺刺激ホルモン(FSH/LH)産生腺腫:時にはFSHの高値などで診断できることもあるが,一般的には非機能性腺腫に入れられている3)

    ラトケ嚢胞:先天性嚢胞であり腺腫ではないが,トルコ鞍内や近傍にしばしば発生する。大半は無症候であるが,下垂体前葉機能障害をきたすことがある。

    上記の疾患は腫瘤が大きくなれば,すべて視力・視野障害をきたしてくる。

    【検査所見】

    下垂体腫瘍の検査は,大きく画像検査と内分泌負荷試験に分けられる。大きな腫瘍では,視力視野検査も必要となる。

    〈画像検査所見〉

    CTスキャンおよびMRI(いずれも造影前後)が主体である。

    下垂体腺腫は,トルコ鞍内外に中等度に造影される腫瘍像を呈するが,正常下垂体のほうが造影性が高いために,特に小さな腫瘍では相対的にless enhanced lesionとして描出される。

    一般に,直径1cm未満の腫瘍をmicroadenoma,それ以上の腫瘍をmacroadenomaと呼ぶ。直径4~5cm以上の腫瘍を巨大腺腫(giant adenoma)と呼ぶこともある。

    なお,ラトケ嚢胞は,MRIのT1強調画像でhigh intensity massとしてトルコ鞍内や鞍上部にみられるため,しばしば偶然発見される(偶発腫:incidentaloma)。T2のintensityは様々であり,造影効果はみられない2)

    〈内分泌負荷試験〉

    一般に分泌が低下しているホルモンには刺激試験を,亢進しているホルモンには抑制試験を行う。

    刺激試験としては,甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH),性腺刺激ホルモン放出ホルモン〔GnRH(LHRH)〕,副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH),成長ホルモン放出ホルモン(GRH)の4者同時負荷試験を用いる。

    抑制試験としては,GH産生腺腫にはブドウ糖,ブロモクリプチン,ソマトスタチンを,PRL産生腺腫にはブロモクリプチンを,ACTH産生腺腫にはデキサメタゾンを用いる。

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