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細菌性髄膜炎(成人)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-26
神崎真実 (虎の門病院神経内科医長)
海田賢一 (防衛医科大学校内科学講座神経・抗加齢血管内科准教授)
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  • ■疾患メモ

    細菌性髄膜炎は小児から高齢者まで幅広い世代でみられる内科救急疾患であり,年間約1500人が発症すると推定されている1)

    一般に急性の経過をたどり,加えて致死的であるため,速やかな診断と適切な治療介入が必要である。 本症を疑った場合には細菌培養の結果を待たずに経験的治療を早急に開始しなければならない。

    2008年にHaemophilus influenzae type b(Hib)ワクチン,2009年に7価結合型肺炎球菌ワクチン(7-valent pneumococcal conjugate vaccine:PCV7)がわが国に導入されてから,インフルエンザ菌や肺炎球菌を起因菌とする小児の髄膜炎の発症は減少している。 本項では成人の細菌性髄膜炎について記載する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    頭痛,発熱,悪心・嘔吐,痙攣,項部硬直,意識障害などの症状を呈する。

    髄膜刺激徴候:項部硬直,Brudzinski徴候(仰臥位で頭部を前屈させると,股関節や膝関節が屈曲する),Kernig徴候(仰臥位で股関節と膝関節を屈曲した状態で膝関節を伸展させると抵抗がある),Jolt accentuation(2~3Hzの周期で頭部を横に振らせる,または他動的に振ると頭痛が増強する)。

    【検査所見】

    初期対応として,バイタルサイン・酸素飽和度の確認,身体診察,神経学的診察,気道確保,静脈路確保,採血(血糖を含む,同時に血液培養2セット採取),尿検査(尿中肺炎球菌抗原を含む),咽頭培養,腰椎穿刺(禁忌については後述),脳脊髄液のグラム染色,頭部CT(占拠性病変の確認)など。

    脳脊髄液所見:蛋白増加(100~500mg/dL程度),糖減少(多くは<20mg/dL,髄液糖/血糖の比<0.4),細胞数増加(1000~5000/mm3,多核球)。

    起因菌:6歳から49歳では約60~70%は肺炎球菌,10%程度はインフルエンザ菌。 50歳以上でも肺炎球菌が最多であるが,インフルエンザ菌に加えてgroup B Streptococcus(GBS),E. coliや緑膿菌も見られる(新生児:GBS,E. coli, 4カ月から5歳:近年Hibは減少して,GBS,リステリア菌, 髄膜炎菌など)。 肺炎球菌は近年,耐性化が進んでいる。

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