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良性家族性血尿(菲薄基底膜病)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
吉川徳茂 (和歌山県立医科大学臨床研究センター長)
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  • ■疾患メモ

    良性家族性血尿とは,広義の遺伝性腎炎の1つであり,血尿のみ,あるいは血尿に加えて軽度の蛋白尿のみを唯一の所見とする非進行性の病態が,家系内の複数の家族に認められる症候群である。患者およびその家族に,高度蛋白尿,腎機能低下,難聴はみられない。

    良性家族性血尿では,病理組織所見として糸球体基底膜の広範な菲薄化がみられることが多く,菲薄基底膜病(thin membrane disease)もしばしば同義に使われるが,臨床的に良性家族性血尿を示す全例が菲薄基底膜を示すわけではなく,厳密には同義ではない。

    近年,良性家族性血尿の一部が,遺伝性進行性腎炎であるアルポート(Alport)症候群の常染色体性劣性遺伝型と同一疾患であることが明らかになった。臨床的には良性家族性血尿であっても病態としてはアルポート症候群と呼ぶべき家系があり,両者をはっきり区別することは困難な場合もある。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    血尿のみ,あるいは血尿に加えて軽度の蛋白尿のみが唯一の所見であり,高度蛋白尿,難聴などはみられない。腎機能は生涯通じて正常である。

    しかし,実は常染色体性劣性遺伝型アルポート症候群の家系において,すなわちⅣ型コラーゲンのα3鎖やα4鎖の変異がヘテロ接合体で受け継がれた家系において,たまたま遺伝子変異を持つ者同士の子がホモ接合体となった場合,腎不全に進行する典型的アルポート症候群の症状を示す可能性が高い。

    【検査所見】

    アルポート症候群との鑑別が重要である。家族性に血尿がみられるが腎不全の家族歴がない場合,経過観察する。経過中に蛋白尿が持続的に出現した場合は,腎生検を施行し,糸球体基底膜の電顕での観察により鑑別する。糸球体基底膜の広範な菲薄化により良性家族性血尿と診断できる()。

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