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原発性肝癌(肝細胞癌)

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-03-28
阪森亮太郎 (大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学)
竹原徹郎 (大阪大学大学院医学系研究科消化器内科学教授)
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  • ■疾患メモ

    原発性肝癌とは,肝臓に原発性に発生した癌種であり,肝細胞に由来するものを肝細胞癌(hepatocellular carcinoma)と言う1)

    肝細胞癌は,約65%がC型肝炎ウイルス(HCV),約15%がB型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染による慢性肝炎あるいは肝硬変を発生母地として生じる2)

    近年,HBs抗原陰性かつHCV抗体陰性の非B・非C肝癌として,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を背景とする肝癌の増加が注目されている。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    症状は特にない。

    B型慢性肝炎およびC型慢性肝炎,肝硬変患者は肝細胞癌の危険群である。中でもB型肝硬変,C型肝硬変は特に危険度の高い超高危険群とされる。これらのハイリスクグループに対して,肝細胞癌サーベイランスアルゴリズム・診断アルゴリズム3)に基づきサーベイランスを行う。

    【検査所見】

    肝細胞癌のサーベイランスの方法として,超音波検査やCT・MRI検査などの腹部画像検査,および血液腫瘍マーカー(AFP,PIVKA-Ⅱ,AFP-L 3分画)が用いられる。検査間隔は危険因子に応じて設定される。

    腹部超音波検査で肝内に結節性病変を新たに認めた場合,ダイナミックCTやMRIで鑑別を行う。

    近年,超音波造影剤を用いた造影超音波や,MRI用造影剤(Gd-EOB-DTPA)を用いたEOB-MRIによって,肝細胞癌の検出能や診断能が飛躍的に向上している。

    画像検査で確定診断に至らない場合は肝腫瘍生検を考慮する。

    肝細胞癌症例において腫瘍マーカーはそれぞれ,AFP 15ng/mL以上が59.6%,AFP-L 3分画10%以上が33.2%,PIVKA-Ⅱ 40mAU/mL以上が59.7%であり2),これらを画像検査と組み合わせることで肝細胞癌の診断精度を向上させる。

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