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肛門挙筋症候群

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-15
味村俊樹 (指扇病院排便機能センター排便機能センター長)
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  • ■疾患メモ

    肛門挙筋症候群(levator ani syndrome)は器質的疾患に起因しない慢性直腸肛門痛の一種である。

    直腸肛門部に鈍痛や鈍重感が20分以上続き,直腸診で恥骨直腸筋を後方に牽引して疼痛が出現・増強するのが特徴である。

    一般人口における直腸肛門痛の有症率は6.6%で,男性5.7%,女性7.4%とやや女性に多い。その12%は痛みのために仕事や学校を休んでいるとされ,患者自身のみならず社会にとって重要な問題である。

    ■代表的症状・検査所見

    器質的疾患に起因しない直腸肛門痛は,機能性消化管疾患の専門書であるRomeⅣ分類では機能性直腸肛門痛と表現され,慢性直腸肛門痛と一過性直腸肛門痛に分類される。さらに慢性直腸肛門痛は,非特異的機能性直腸肛門痛と肛門挙筋症候群に分類される(図,表1)

    05_66_肛門挙筋症候群

    身体診察や検査で器質的原因を鑑別した後,疼痛の性質や持続時間によって一過性直腸肛門痛と慢性直腸肛門痛に分類する。

    【症状】

    一過性直腸肛門痛は消散性直腸肛門痛とも呼ばれ,肛門部の激痛が急に出現して数秒から数分,最長でも30分以内に完全に消失するのが特徴である。

    慢性直腸肛門痛は疼痛や鈍重感が30分以上続き,長時間の坐位で増強し,立・臥位で軽減するのが特徴である。原因は解明されていないが,精神心理的要因に加えて,一過性直腸肛門痛は平滑筋である内肛門括約筋の攣縮,慢性直腸肛門痛は横紋筋である恥骨直腸筋を含めた肛門挙筋の攣縮の関与が考えられている2)

    慢性直腸肛門痛は,直腸診で恥骨直腸筋を後方に牽引して疼痛が出現または増強した場合は肛門挙筋症候群と診断し,変化がなければ非特異的機能性直腸肛門痛と診断する。肛門挙筋症候群は骨盤底筋の過剰収縮が,非特異的機能性直腸肛門痛はストレスや不安などの心理的要因がより大きく関与していると考えられている。

    【検査所見】

    大腸内視鏡検査やCT・MRI検査で,肛門痛の器質的原因が存在しないことを確認する。

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