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家族性大腸腺腫症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-13
六車直樹 (徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学准教授)
高山哲治 (徳島大学大学院医歯薬学研究部消化器内科学教授)
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  • ■疾患メモ

    家族性大腸腺腫症(familial adenomatous polyposis:FAP)は,大腸に多数の腺腫性ポリープ(通常100個以上)を発生する症候群であり,放置するとほぼ100%の症例に大腸癌を発生する。そのため,治療の原則は大腸全摘である1~3)

    大腸癌以外にも,消化管その他の臓器に様々な腫瘍性および非腫瘍性の随伴病変が発生する。

    原因遺伝子はAPC遺伝子であり,常染色体優性遺伝の形式により遺伝する。

    通常,大腸に100個以上の腺腫を認める場合,または腺腫数が100個に達しなくてもFAPの家族歴を有する場合には臨床的にFAPと診断する。また,APC遺伝子の生殖細胞系列変異を認める場合にはFAPと診断する。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    無症状であることが多いが,血便,下痢,腹痛などの消化器症状を呈することがある。

    大腸癌を合併すると,しばしば血便,腹痛,下痢・便秘などの便通異常をきたし,腸閉塞になることもある。

    甲状腺腫(甲状腺癌),骨腫,軟部腫瘍(類表皮嚢胞やデスモイド腫瘍など)に気づくことがある。

    埋没歯,過剰歯,含歯性嚢胞,歯牙腫瘍などの歯牙異常を呈することがある。

    【検査所見】

    血液検査:大部分の症例では異常を認めないが,ポリープ(腺腫)から出血をきたし貧血を呈することがある。大腸癌を合併すると高率に出血をきたして貧血となり,しばしば腫瘍マーカー(CEAなど)が上昇する。

    大腸内視鏡検査・注腸バリウム検査:大腸に多数(通常100個以上)の腺腫性ポリープを認める(図1)。大腸腺腫の数により,腺腫を数百個認める非密生型,数千個(5千個以上)認める密生型,100個未満の減衰型,に分類される1)

    上部消化管内視鏡検査:約半数の症例で多数の胃底腺ポリープ(胃底腺ポリポーシス)を認める(図2)。また,胃前庭部にはしばしば腺腫を認め,癌の発生母地となる。胃癌は,6%に合併するとの報告がある4)。十二指腸の観察では高率に腺腫を認め(約90%),しばしば乳頭部腺腫も認める(約60%)4)

    05_47_家族性大腸腺腫症

    遺伝子検査:末梢血液(リンパ球)を用いた遺伝子検査により,原因遺伝子であるAPCの変異を認める(杯細胞性変異)。

    眼底検査:40~80%に先天性網膜色素上皮肥大(congenital hypertrophy of retinal pigment epithelium:CHRPE)を認める。CHRPEは,大腸腺腫より先に発症することから,本症の補助診断として重要である。ただし,症状はない。

    小腸カプセル内視鏡:十二指腸のみならず,空腸および回腸にも高率に腺腫を認める。しばしば,白色調の点状または微小隆起性病変として認める。高度異型腺腫や癌を認めることもあるが,頻度は高くない。

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