株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

脱水

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-07-10
荒井康之 (生きいき診療所・ゆうき院長)
    • 1
    • 2
  • next
  • ■治療の考え方

    脱水は予防的ケアを原則とする。患者・介護者に生活のなかで脱水予防を意識させ,具体的方法を指導する。ケアマネジャーなど専門職に対しても同様である。

    脱水は早期であれば1本の点滴で改善できる。脱水の徴候を早く拾い上げられる体制づくりが重要である。

    皮下点滴法は,慢性心不全患者や認知症高齢者などに在宅で行う際,安全で扱いやすく有用である。

    ■状態の把握・アセスメント

    【フィジカル】

    成書には,脱水の徴候として,口腔内乾燥,口渇,舌の乾燥・萎縮・縦皺,皮膚ツルゴールの低下,腋窩の乾燥,体温上昇,嘔吐,めまい,倦怠感,頭痛,濃縮尿,尿量の低下,起立性低血圧・立ちくらみ,血圧低下,脈拍上昇,意識レベル低下などが記載されている。

    虚弱で要介護状態の高齢者の場合は,「何となく活気がない」「食欲がない」「微熱がある」などの不定の症状から脱水に気づくことも多い。

    口腔内所見(口腔内乾燥,舌の乾燥など)は,脱水の所見としての感度は高いが特異度は低い。口呼吸をしているだけでも生じる所見であるため,比較するには普段からの観察が重要である。

    腋窩の乾燥は,脱水の所見として特異度が高い。

    【メンタル】

    水分摂取の重要性を認識できるか,補液に協力的で安全に実施できるか。

    頻尿による身体負担や排尿の失敗を避けようと,飲水を自己制限する生活習慣はないか(詳細は後述)。

    【介護力】

    患者の水分摂取に協力的か。

    【検査】

    血液検査:BUN,Cr,Na,Htなど。

    尿検査:尿比重,尿中Naなど。

    超音波:下大静脈径の測定など。

    1190疾患を網羅した最新版
    1252専門家による 私の治療 2021-22年度版 好評発売中


    PDF版(本体7,000円+税)の詳細・ご購入は
    コチラより

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    page top