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うつ病と抑うつ状態

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-06-13
大澤 誠 (大井戸診療所院長)
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  • ■疾患メモ

    生涯有病率が10%にも及び,自殺につながる重要な疾患と言える。女性の有病率は男性の約2倍である。

    現在,うつ病の診断は主に米国精神科医学会や世界保健機関(WHO)が作った操作的診断マニュアル,DSMやICDを使っているが,それがうつ病概念の拡散化につながっているとの見方もある。すなわち,うつ病と抑うつ状態の混同であり,精神科の医者でなくとも最近の抗うつ薬である比較的副作用の少ないSSRIやSNRIなどを多用することに拍車をかけていると言える。

    在宅医療の現場で,うつ病ないしは抑うつ状態に出合うのは,末期がんや神経難病などの告知を受け,その受容に至らない時期,脳血管障害後,認知症に移行する前ないしは認知症初期症状の段階と言えるが,介護家族の疲弊によるそれも見落としてはならない。

    ■代表的症状・検査所見

    【症状】

    代表的な症状は,集中力と注意力の減退,自己評価と自信の低下,罪責感と無価値観,将来に対する悲観的な見方,自傷・自殺の思いや行為,睡眠障害,食欲不振などで,これらの症状が複数あり,2週間以上続くとうつ病と診断される。したがって,失恋で落ち込んでいるだけでもこれらを満たせば,脳がそれほど失調していなくても,うつ病と診断される場合も出てきてしまう。

    【検査所見】

    高齢であればあるほど,認知症をはじめとした脳器質的疾患や内科的疾患を除外する必要があるため,神経学的診察,一般血液検査は必要で,場合により脳画像検査などを追加しなければならない。

    ■治療の考え方

    うつ病の治療の柱は"休養"と"薬"である。しかし,昔からの中核的なうつ病の人にとって,これを受け入れてもらうのが意外と難しい。「自分の努力が足りないせいでこうなった」と思う人が多いからである。そして最悪の転帰である自殺を防ぐことも求められる。

    ■アセスメントのポイント

    入院が必要な場合のみきわめが重要で,「死にたい」という思いが続くときや,水分も十分に摂取できないような食欲減退が続いた場合は,生命に関わるので入院が必要となる。また,自分で行動をコントロールできないほどの焦燥感があり,破壊的・暴力的になった場合や,自宅でゆっくりと静養できない場合も入院を勧める。

    いわゆる難治性うつ病は原則として精神科専門医に委ねる。2種類以上の作用機序の異なる抗うつ薬を十分量,十分期間(6週間以上)投与しても治療反応が得られなかったり,部分反応にとどまったりするものを指す。その中に,統合失調症の抑うつ状態,双極性感情障害のうつ病相,精神療法が必要なうつ病,不安障害や発達障害,パーソナリティ障害からくる二次性うつ病などを含んでいるからである。

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