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低体温症

登録日:
2017-03-16
最終更新日:
2017-04-13
中村光伸 (前橋赤十字病院高度救命救急センターセンター長)
中野 実 (前橋赤十字病院院長)
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  • ■治療の考え方

    低体温症とは,深部体温が35℃以下に低下した状態を言う。

    まずは,さらなる体温喪失を防ぐために衣服が濡れていればそれらを除去し,体を乾布で拭き取ることを行わなければならない。

    次に,心電図と深部体温(直腸温や膀胱温)をモニタリングしながらABC(気道,呼吸,循環)の確保を行う。同時に,低体温症となった原因を検索していく必要がある。

    ■病歴聴取のポイント

    偶発性低体温症:寒冷の環境にさらされ低体温に陥る場合や,体温調節機能に障害を及ぼす薬毒物の摂取による場合など,不慮の事態によって発症するものを偶発性低体温症(accidental hypothermia:AH)と呼ぶ。AHには,健常人が低体温に陥る一次性低体温と,重篤な全身状態の合併症として低体温となる二次性低体温がある。

    屋内での発症は,屋外より3倍多いと報告されている1)

    原因:男性では,アルコール,外傷,溺水などの外因が多い。女性では,外因に起因しない疾病が多い。女性の外因としては,薬物過量摂取を含む自傷行為が多い。若年者はアルコールや外傷などの外因,高齢者は疾病が原因の場合が多い。

    ■バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    A・B(気道,呼吸):呼吸回数の低下が著明であるため,通常より長く30~45秒かけて慎重に観察する。

    C(循環):徐脈となることが多い。

    D(意識):30℃以下となると,意識障害を呈することが多い。

    E(体温):直腸温や膀胱温など,深部体温を測定するのが望ましい。深部体温により,35℃~32℃で軽度低体温,32℃~28℃中等度低体温,28℃以下で高度低体温と重症度分類される。

    【身体診察】

    二次性低体温の原因となる病態を検索するために,全身の診察を行う。

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    コチラより

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