株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

発 熱[Dr.徳田の診断推論講座(10)]

No.4758 (2015年07月04日発行) P.37

徳田安春 (地域医療機能推進機構[JCHO]本部顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 今回は発熱。感染症のことが多いが,発熱=感染症とは限らない。ウイルス性上気道炎(かぜ症候群)のようなコモンなものから,薬剤性のもの,血管内リンパ腫による腫瘍熱のようなものまで原因は様々だ。では,今回の症例をみてみよう。

    体温調節機序

    人間は恒温動物であり,体温をほぼ一定に保とうとする機構を持つ。その中の司令塔は体温調節中枢であり,視床下部にある。正常状態での中枢体温は36.5~37.5℃に維持されている。口腔温の平均値は36.8℃であり,一般に口腔温は直腸温よりも0.4℃ほど低い。鼓膜温の測定は簡易であるが,口腔温や直腸温よりも誤差が大きい。日本でよく測定される腋窩温は口腔温より約0.5℃低いので,直腸温よりも0.9℃ほど低い。欧米の体温測定では口腔温を用いることが多いので,約0.5℃の「差」があることを考慮すべきである。すなわち,日本での37.6℃(腋窩温)は,欧米での38.1℃(口腔温)に匹敵するものとする。
    体温は日内変動があり,一般に午前6時頃が最も低く,午後6時頃が最も高い。月経のある女性ではその周期による変動があり,排卵後から月経までの2週間は約0.6℃高くなる。体温は,熱の産生と喪失のバランスにより決まる。

    残り2,866文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top