株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

頭痛・頭重感[Dr.徳田の診断推論講座(7)]

No.4755 (2015年06月13日発行) P.40

徳田安春 (地域医療機能推進機構[JCHO]本部顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • next
  • 今回は頭痛。コモンな主訴である。原因として片頭痛や緊張型頭痛の頻度が高い。これらは間欠的な頭痛であり,発作も大抵は保存的治療で軽快する。その一方,くも膜下出血などの致死的な疾患の症状のことがあり,このような場合は迅速な診断が必要となる。では,今回の症例をみてみよう。


    頭痛の分類

    International Headache SocietyのHeadache Classification Committeeによる国際頭痛分類(The International Classification of Headache Disorders:ICHD)では,頭痛は一次性頭痛(primary headaches)と二次性頭痛(secondary headaches)にわけられている。一次性頭痛は外因性の原因がなく,頭痛そのものをきたす病因によるもの(表1),二次性頭痛は外因性の病因によるものである(表2)。二次性頭痛の中で感染症の頻度が高いのは,インフルエンザなどのウイルス感染症などでも「頭痛」をきたすことが多いためである。
    頭痛は,末梢(侵害受容器)または中枢神経系の疼痛信号伝達経路の障害や刺激,自動興奮などによって起こる。二次性頭痛は,頭皮,中硬膜動脈,硬膜静脈洞,大脳鎌,軟膜,そしてそこに分布する三叉神経などの刺激により起こる。脳実質(疼痛信号伝達経路以外の部位)には侵害受容器はないので,メスなどによってその部位を切開しても頭痛を生じない。一次性頭痛は,中枢神経系の疼痛信号伝達経路の異常が主要な原因であり,頭蓋内副交感神経系の刺激症状(流涙や結膜充血)を伴うものがある。片頭痛(migraine)は,以前は「血管性頭痛」(vascular headache)と言われていたこともあるが,血管そのものに原因があるわけではなく,頭蓋内副交感神経系が刺激された結果として血管拡張が起こるのである。

    残り4,043文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top