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CASE28 肺痛と心電図異常と基準値内のCK値/肺炎発症後に胸痛を自覚した症例[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.103

内山隆史 ( 戸田中央総合病院心臓血管センターセンター長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-08-01

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  • 【症例紹介】

    84歳の女性。既往歴,家族歴に特記すべきことはない。脂質代謝異常,糖尿病,高血圧もなく,喫煙歴もない。6月1日,誤嚥性肺炎を発症し他院に入院加療中であった。肺炎は軽快していたが,6月7日に突然左前胸部痛を自覚し持続するため,心電図検査を施行。心電図をとると,胸部誘導でST上昇(特にV4~V6でのST上昇が著明)していたがⅡ,Ⅲ,aVFでのST低下は認めなかった(図1)。胸痛が持続しST上昇したままであり,5時間後に血液検査を施行(表1)。心筋逸脱酵素は上昇していないが,STの上昇とトロポニン陽性,BNP上昇のため心筋梗塞を疑って救急搬送された。


    検査値のどこに悩んだか

    本例は心電図とトロポニン陽性から心筋梗塞を疑った。しかし他の心筋逸脱酵素の上昇を認めないので,本当に心筋梗塞であろうか。肺炎は軽快し白血球数もCRPも改善していたが再上昇しており,ST上昇を伴う胸痛を自覚している。



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