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CASE20 汎血球減少へのアプローチ/溶血性貧血を含む軽度の汎血球減少を認めた30歳男性[CAUTION!臨床検査の落とし穴]

No.4692 (2014年03月29日発行) P.74

木村昭郎 (国家公務員共済組合連合会呉共済病院検査部部長)

兵頭英出夫 (広島大学原爆放射線医科学研究所血液腫瘍内科)

小野哲也 (国家公務員共済組合連合会呉共済病院病院長)

登録日: 2014-03-22

最終更新日: 2017-07-31

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  • 【症例紹介】

    30歳の男性。易疲労感を主訴に前医を受診し,軽度の汎血球減少を指摘され,血液内科を紹介受診した(症例1)。血液検査では,表1に示すように,軽度の大球性正色素性貧血,網状赤血球増加,軽度の好中球減少(好中球実数1300/μL)および血小板減少を認めた。白血球減少と血小板減少を伴う自己免疫性溶血性貧血,再生不良性貧血,巨赤芽球性貧血などの血液疾患,骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome;MDS),急性白血病,リンパ腫の骨髄浸潤などの血液腫瘍をはじめ,非血液疾患である肝硬変,特発性門脈圧亢進症などが疑われた。

    検査値のどこに悩んだか

    本例は白血球数3020/μL,Hb 11.5g/dL,血小板数10.8×104/μLと軽度であるが,汎血球減少が示された。汎血球減少は血液疾患を示唆する最も重要な所見の1つで,急性白血病,MDS,骨髄腫,リンパ腫の骨髄浸潤などの血液腫瘍をはじめ,再生不良性貧血,巨赤芽球性貧血などの血液疾患のみならず,非血液疾患である全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE),肝硬変,特発性門脈圧亢進症などで認められる。次に本例では,間接ビリルビン1.9mg/dL,ハプトグロビン<10mg/dL,LDH 1258IU/L(アイソザイムでは1型が高値),網状赤血球比2.81%など溶血性貧血の所見が認められた。なお網状赤血球比は通常%で示されるが,貧血がある時は,赤血球数を掛けて網状赤血球実数として,正常人と比較判断することが大切である。

       

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