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(12)尿が出ない,回数が少ないと訴える76歳女性[特集:備えておくべき重篤疾患の診かた─見落としを防ぐには]

No.4718 (2014年09月27日発行) P.65

編集: 本村和久 (沖縄県立中部病院プライマリケア・総合内科副部長)

北村 大 (三重大学附属病院総合診療科助教)

登録日: 2016-09-01

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  • 1. 初期症状

    尿が出ない,回数が少ない,という主訴で受診した,特に既往のない76歳の女性。
    骨粗鬆症で他院整形外科に定期通院中。エルデカルシトール,セレコキシブを内服。
    2日前から尿が出にくいとのことで,夕方の救急外来にwalk inで受診した。前日の夕方にも同様の主訴で当院を受診し,脱水による乏尿として,輸液をして帰宅となっていた。その後1日間,排尿はなかった。最近の新規の投薬・投薬内容の変更はなかった。排尿時痛,血尿,頻尿,尿失禁,尿意の切迫感の自覚などはなかった。

    2. 考えられる疾患

    症状は排出障害がメインで,蓄尿障害の有無ははっきりしない。尿閉の原因として最も多いのは下部尿路の閉塞であり,結石・膀胱腫瘍などによる閉塞,子宮脱・直腸瘤による外からの閉塞が鑑別に挙げられたが,この時点では可能性は低いと考えた。薬剤性の可能性は否定されていたが,市販薬を含めて再確認が必要と思われた。
    この段階では,神経因性膀胱の可能性が最も高いと考えられたが,脳卒中,パーキンソン病,骨盤内の手術歴,アルコール多飲の背景などはなく,糖尿病などの内科疾患が検索されていない可能性や,加齢による末梢神経障害の可能性が考えられた。

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