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黄 疸[Dr.徳田の診断推論講座(15)]

No.4763 (2015年08月08日発行) P.38

徳田安春 (地域医療機能推進機構[JCHO]本部顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-14

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  • 黄疸の原因は,肝臓の病気であることが多いが,溶血や体質性黄疸のこともある。黄疸はビリルビン沈着による組織の黄色変化で,高ビリルビン血症がある場合にのみ起こる。では,今回の症例をみてみよう。

    黄疸とそれ以外の皮膚黄染の鑑別

    血清ビリルビン値上昇(一般に>3mg/dL)は,弾性線維に富みビリルビンとの親和性が特に高い強膜や舌に黄染を起こす。照明が暗い蛍光灯であると強膜黄染をみつけるのは難しい。自然光のほうがみつけやすい。血清ビリルビン値上昇に伴い,皮膚が徐々に黄色を呈し,黄疸の経過が長期化するとビリルビンがビリベルジンに酸化し,緑色調となる。
    皮膚黄染で黄疸と鑑別すべきものに,柑色皮症,キナクリンの使用,フェノール類への曝露がある。柑色皮症は高カロテン血症による皮膚の黄色化で,一般的にカロテンを多く含む果物・野菜の過量摂取で起こるが,甲状腺機能低下症でも起こる。柑色皮症では眼球結膜は黄染しないため,黄疸と鑑別できる。
    また,血清ビリルビン値上昇では尿の暗色化もよくみられる。これは抱合型ビリルビンの色調。尿の色が紅茶色やコーラ色と表現する。検尿でビリルビン尿がある場合には,血清中の直接型ビリルビン値の上昇を意味する。

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