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アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とは?【有効性を示すエビデンスが示されつつある。高齢化に伴いケアの中心的存在に】

No.4904 (2018年04月21日発行) P.54

葛谷雅文 (名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学教授)

三浦久幸 (国立長寿医療研究センター在宅連携医療部部長)

登録日: 2018-04-19

最終更新日: 2018-04-16

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  • 超高齢社会を迎え,「死は医療の敗北」であった時代から,「いかに看取るか」,また「quality of death(QOD)」の重要性が強調される時代になってきました。そこで,アドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)の考え方と実践について国立長寿医療研究センター・三浦久幸先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    葛谷雅文 名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学教授


    【回答】

    ACPの定義は様々ありますが,共通しているのは「今後の医療や療養場所の希望について患者・家族とあらかじめ話し合って患者の思いを引き出し,その話し合いの経緯をそのまま関係者で共有するプロセス」という点です。つまり,ACPとは意思決定能力低下に備えた対応プロセス全体を指します。もともとは1995年ぐらいから米国を中心に広がった考え方で,事前指示書など文書でのやりとりを基本とした活動では良いエビデンスが得られなかったことが背景にあります。現在では欧米,オーストラリアなど医療先進国を中心に活動が広まっています。

    実践上の医療倫理判断においてQOLやQODを考えるにあたって重要な要素は,本人の価値観や治療選好であり,これに基づいた治療方針,緩和ケアの方針とすべきなのですが,一方で病態を考えた場合,本人の意向が最善の利益と矛盾する場合があります。リビングウィルや事前指示書ではこのような課題を克服できませんでした。このため,患者本人が都度,医療者から必要な情報を得て,話し合いを重ね,気持ちを固めていく,という時間をかけた医療者との対話の中での決定が望まれ,ACPが体系化されてきました。

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