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肺の帯状疱疹[プラタナス]

No.4894 (2018年02月10日発行) P.3

酒見英太 (洛和会音羽病院副院長/洛和会京都医学教育センター所長)

登録日: 2018-02-09

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  • 帯状疱疹と聞けば、デルマトームに一致して片側体表に広がる有痛性紅斑と小水疱が相場であるが、実は内臓でも病変が発生しうる。

    1 例目は、よく管理された糖尿病と気管支喘息を基礎に持つ64歳男性。18日前に発症した鋭い右咽頭痛・嚥下痛に引き続き、次々と嗄声、嚥下困難・むせ、吃 逆、嘔吐をきたしたため入院した。3日前には他院で右声帯の傍正中固定と、CT上右肺のみに散在する淡い斑状すりガラス影を指摘されていた(左写真)。バ イタルは正常で皮膚粘膜に病変はなかったが、気息性嗄声と右カーテン徴候のみを認め、右迷走神経の単麻痺と考えられた。CRPは2.03mg/dLと軽度 上昇のみで、脳幹の単純MRIでは病変は検出されず、帯状疱疹ウイルス(VZV)の血清IgM抗体価が上昇していたため、回帰感染による右迷走神経単独麻 痺と診断した。その後、経過観察のみで症候はすべて徐々に消失し、入院19日目のCTでは右肺の病変も消失した。

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