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硝子体手術術後の遷延する角膜障害に対する治療【点眼治療,上下涙点プラグ,治療用コンタクトレンズ,羊膜カバー,ステロイド点眼,角膜移植,角膜内皮移植などが行われている】

No.4883 (2017年11月25日発行) P.57

前野貴俊 (東邦大学医療センター佐倉病院眼科教授)

島﨑 潤 (東京歯科大学市川総合病院眼科教授)

登録日: 2017-11-28

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  • 増殖糖尿病網膜症や難治性網膜剥離に対する硝子体手術において,術後眼底病変が沈静化しても,手術侵襲によって生じた遷延する角膜障害のために視機能低下をきたすことがあります。
    このような症例での遷延性角膜上皮剥離や角膜内皮障害による水疱性角膜症に対する治療のタイミングや方法に関してご教示をお願いします。また,最近の角膜内皮治療に関する動向についても併せてご教示下さい。
    東京歯科大学市川総合病院・島﨑 潤先生にお願いします。

    【質問者】

    前野貴俊 東邦大学医療センター佐倉病院眼科教授


    【回答】

    硝子体手術後の角膜障害は,手技の進歩によって頻度が減っていますが,今でも時に遭遇します。角膜上皮障害の発症には,涙液分泌減少と角膜知覚低下が関連しており,術前よりこれらを有している眼では発症リスクが高くなります。

    涙液分泌減少眼では,防腐剤無添加人工涙液,ヒアルロン酸,ジクアホソル,レバミピド,自己血清などの点眼治療が第一選択となりますが,防腐剤をはじめとする薬剤性障害も考慮する必要があります。必要性の低い点眼を中止したり点眼回数を減らしたりすることが重要で,特にアミノグリコシド系抗菌薬や非ステロイド性抗炎症薬,抗緑内障点眼薬の投与は注意が必要です。遷延する場合は,上下涙点プラグも考慮されます。施行後に流涙が生じることがありますが,上皮障害が改善すればプラグの抜去も可能であり,もっと気軽に試みられてよい方法と思います。

    糖尿病などで知覚が低下している場合,根本的な治療法はありませんが,点眼治療のほかに治療用コンタクトレンズ装用が有用な場合も多く経験します。コンタクトレンズにおいて,ある程度の効果はみられるものの,上皮障害が残存する場合は,羊膜カバーも考慮されます。

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