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高次脳機能障害者は主体性により年単位で改善する [プラタナス]

No.4757 (2015年06月27日発行) P.1

長谷川 幹 (三軒茶屋リハビリテーションクリニック院長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 筆者は1981年に整形外科からリハビリテーション科に移行し、脳卒中などを一から勉強することになった。当時、脳損傷(脳卒中、脳外傷など)患者へのリハビリテーションは片麻痺に対してのものが中心であり、高次脳機能障害は「リハビリの阻害因子」と言われ、積極的な対応はできていなかった。筆者とスタッフは20~30歳代の若い集団であり、わからないながらも高次脳機能障害にも果敢に挑戦していた。ただし、我々を導く日本の教科書はきわめて少なかったため、申し訳ないと思いつつも患者が「教師」であった。

    このCT画像は、1984年に受傷した脳外傷の40歳代の男性のものである。右側が右脳を表し、低吸収域は前頭前野の両側(左が大)、右側頭領域であった。他院において約10カ月入院加療後に当院へ転院し、数カ月後に自宅へ退院した。


    本例は麻痺はなく、記憶障害が主であった。我々の名前を覚えられず、時間にもルーズであった。受傷前は、夫婦であんみつ屋を営んでいた。記憶障害は、新しい事象は覚えられないが古い記憶は残っているので、以前のようにあんみつは作ることができた。しかし、いくつ注文があったか、どのような内容であったかなどは忘れてしまうため、夫婦二人三脚での店の再開となった。

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