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慢性中耳炎[私の治療]

No.5230 (2024年07月20日発行) P.38

有本友季子 (千葉県こども病院耳鼻咽喉科部長)

登録日: 2024-07-19

最終更新日: 2024-07-16

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  • 慢性中耳炎には狭義と広義があり,一般的には鼓膜に穿孔があり耳漏を生じやすい状態(狭義)を示すことが多い。広義では中耳腔に慢性的な炎症がある状態を指し,この場合は癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎も含まれる。
    狭義の慢性中耳炎は,急性中耳炎罹患を契機に中耳腔の膿汁貯留による鼓膜膨隆を生じ,自壊して鼓膜に生じた穿孔が閉じずに残存という経過をたどった場合や,急性もしくは滲出性中耳炎治療の目的で鼓膜切開や鼓膜換気チューブの留置を受けた結果,永久穿孔が残存した場合に生じうる。
    耳漏を反復し難渋する例もあれば,あまり耳漏を認めない例もある。鼓膜穿孔による影響は耳漏を生じやすいこと以外に難聴がある。穿孔が拡大すると伝音難聴が顕著となる。特に低音障害を認めやすい。内耳障害まで合併した場合には混合難聴を呈する。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    耳漏,難聴。

    【検査所見】

    顕微鏡や鼓膜鏡による診察で鼓膜に穿孔を認める。中耳腔や鼓膜上,外耳道に耳漏を認めることがある。耳漏停止時の聴力検査にて,骨導聴力はほぼ正常域で気導聴力のみ閾値上昇を認める伝音難聴を呈す。稀に骨導聴力も閾値上昇を示し混合難聴を呈す。

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