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多発性硬化症におけるナタリズマブ(NTZ)の投与間隔調整の効果と意義は?

No.5123 (2022年07月02日発行) P.48

竹島多賀夫 (富永病院脳神経内科部長/頭痛センター センター長)

近藤誉之 (関西医科大学総合医療センター脳神経内科 教授・診療部長)

登録日: 2022-07-01

最終更新日: 2022-06-28

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  • 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の治療においてナタリズマブ(NTZ)の投与間隔を調整することでその効果を維持しつつ副作用を軽減できると聞きましたが,具体的にはどのように実施するのでしょうか? またその意義はどの程度あるのでしょうか?
    関西医科大学・近藤誉之先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    竹島多賀夫 富永病院脳神経内科部長/頭痛センター センター長


    【回答】

     【NTZは投与間隔を延長(EID)することによって進行性多巣性白質脳症のリスクを減少させることができる】

    NTZはMS疾患修飾薬(disease modifying drug:DMD)の中で,high efficacy treatment(HET)です。約100例のMS患者自験例では再発例,複数の新規病変出現例を経験していません。それでも進行(progression independent of relapse activity)するケースは存在し,進行型の治験では有効性は証明できませんでしたが,tysabri observational program(TOP)studyではExpanded Disability Status Scale(EDSS)4以上の患者でも身体障害進行は抑制されており1),進行型にも一定の効果があると解釈できます。

    「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2017」の発刊時点では,low risk DMDより治療を開始し,有効性が乏しい場合にHETへとエスカレーションしていくという考え方が主流でした。しかし,早期HET導入したMS患者は進行型になりにくい,長期予後が改善される可能性が高いという事実2)が周知されるようになりました。

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