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埋伏歯[私の治療]

No.5112 (2022年04月16日発行) P.51

大野啓介 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2022-04-14

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  • 埋伏歯とは歯の萌出異常のひとつで,萌出時期を過ぎても歯冠の全部あるいは一部が萌出せずに歯肉下あるいは顎骨内に残留している歯を言う。歯が完全に顎骨内にある完全埋伏歯と歯冠の一部が口腔内に露出している不完全埋伏歯がある。多数の埋伏歯は内分泌機能障害,くる病,遺伝子疾患などの全身的要因が考えられ,少数の埋伏歯の場合は萌出部位の不足,歯胚の位置や萌出方向の異常などの局所原因が考えられる。

    埋伏歯はX線撮影を行い,埋伏位置を確認する。また,埋伏歯が原因で症状があるかどうかを確認する。急性症状と慢性症状で対応が異なるため,症状から対応する。

    ▶診断のポイント

    【急性期】

    ①初期には,歯肉に軽度の発赤と腫脹が発現する。
    ②自発痛,圧痛ともに軽度であるが,炎症の進行とともに持続的疼痛が顕著となる。さらに進行すると,開口障害や嚥下時痛が発現する。
    ③顎下リンパ節の腫脹や疼痛を伴う。
    ④体温が37~38℃前後に上昇し,歯肉からの排膿もみられる。
    ⑤炎症が進行すると,隣接組織への重篤な化膿性炎を続発する。

    【慢性期】

    ①特に強い自覚症状がないまま歯冠周囲炎が進行した場合や,急性智歯周囲炎の発現と消退を繰り返す場合には,慢性の智歯周囲炎となる。
    ②慢性智歯周囲炎では軽度の違和感や疼痛があるが,著明な自覚症状を欠く場合が多い。急性転化を起こすことがあり,その場合は急性症状と同様の症状を呈する。

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