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急性肝不全(劇症肝炎)[私の治療]

No.5111 (2022年04月09日発行) P.43

持田 智 (埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科教授)

登録日: 2022-04-10

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  • 正常肝または肝予備能が正常と考えられる肝臓に障害が生じ,初発症状出現から8週以内に,高度の肝機能障害に基づいてプロトロンビン時間国際標準比(INR)値が1.5以上になる症例を急性肝不全と診断する1)。肝性脳症が認められない,または昏睡度がⅠ度までの「非昏睡型」と,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する「昏睡型」に分類し,後者は初発症状出現から昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現するまでの期間が10日以内の「急性型」と,11日以降56日以内の「亜急性型」に分類する。
    初発症状出現から8週以降24週以内にINR値が1.5以上になり,昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症を呈する症例は,遅発性肝不全(late onset hepatic failure:LOHF)と診断し,急性肝不全の類縁疾患として扱う。

    ▶ 診断のポイント

    初発症状の時期を患者または家族から聴取して病型を正確に診断することと,成因の分類法2)に準拠して成因を明らかにすることが重要である。

    ▶ 私の治療方針・処方の組み立て方

    昏睡が出現する前から,可及的速やかに肝庇護療法と成因に対する治療を実施する。昏睡Ⅱ度以上の肝性脳症が出現した時点で人工肝補助を開始する。また,肝移植施設にも連絡して,生体,脳死肝移植の準備を行う。予後予測にはスコアリング法を利用する3)。昏睡Ⅲ度以上の場合は脳浮腫に対する治療も追加する。

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