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転移性前立腺癌のcell free DNAを用いたバイオマーカー研究の現状は?

No.5110 (2022年04月02日発行) P.50

寺田直樹 (宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座 泌尿器科学分野准教授)

赤松秀輔 (京都大学医学研究科泌尿器科学教室准教授)

登録日: 2022-04-01

最終更新日: 2022-03-31

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  • 転移性前立腺癌の血漿遊離DNA(cell free DNA:cfDNA)を用いたバイオマーカー研究の現状について,京都大学・赤松秀輔先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    寺田直樹 宮崎大学医学部発達泌尿生殖医学講座 泌尿器科学分野准教授


    【回答】

     【cfDNAではがんゲノムの動的な変化をリアルタイムに捕捉できるので,がんの生物学の解明に応用されている】

    cfDNAとはアポトーシスやネクローシスをきたした細胞から放出される,約160塩基程度に断片化されたDNAです。cfDNAは体内のすべての細胞から放出されますが,特にがん細胞由来のものを循環腫瘍DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)として区別します。がん細胞では正常細胞と比較して特異的な遺伝子変異が起こりますので,それを指標にctDNAを識別できます。また,各断片の相対的な量を調べることで特定の遺伝子の増幅も知ることができます。

    がんゲノム医療の時代になり,遺伝子情報をもとに投与する薬剤や投与の時期を決めるプレシジョン医療が求められています。しかし,前立腺癌では主な転移先が骨ですので転移巣の組織を用いたがんゲノム検査は容易ではありません。このため,前立腺癌では特にcfDNAのようなリキッドバイオプシーへの期待が大きくなっています。そして2021年5月にはついにcfDNAを用いたがんパネル検査であるFoundationOne® Liquid CDx検査によるBRCA1,BRCA2異常の検出がPARP阻害薬のコンパニオン診断としてわが国でも承認されました。

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