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歯周膿瘍[私の治療]

No.5106 (2022年03月05日発行) P.42

大野啓介 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座)

登録日: 2022-03-06

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  • 歯周膿瘍は,歯根膜や歯槽骨などの深部歯周組織の破壊を伴う辺縁性歯周炎や根尖性歯周組織炎に続発して生じる膿瘍で,原因歯の歯周ポケットを通して排膿が間に合わず,膿が貯留した状態を指す。歯槽粘膜を中心に限局した腫脹,発赤が生じるが,膿が骨膜を破り粘膜下に達した場合は波動を認め,疼痛を伴うことがある。

    ▶診断のポイント

    ①原因歯の根尖部相当付近に歯槽粘膜の発赤,腫脹,圧痛が認められる。
    ②腫脹がさらに広範囲に及ぶと自発痛,発熱,リンパ節の腫大を呈する。
    ③X線所見では原因歯の歯根膜腔の拡大,根尖部周囲に境界明瞭な類円形の透過像がみられる。
    ④膿瘍部と歯周ポケットは必ず交通している。
    ⑤増悪することで骨髄炎に移行することがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    抗菌薬の投与に併せて膿瘍切開や根管拡大による排膿路の確保を適切に行うことで消炎は容易であるが,消炎後の原因歯に対し適切な処置を行わない場合には慢性化し,歯肉の瘻孔や外歯瘻を形成することがある。根治的には原因歯の抜歯であるが,感染根管治療が十分に行われた場合には原因歯の保存,経過をみることもある。

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