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機能性ディスペプシア(FD)[私の治療]

No.5103 (2022年02月12日発行) P.36

大島忠之 (岡崎市医師会公衆衛生センター副センター長兼消化器統括部長)

三輪洋人 (川西市立総合医療センター総長)

登録日: 2022-02-12

最終更新日: 2022-02-08

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  • わが国の診療ガイドライン1)で機能性ディスペプシア(functional dyspepsia:FD)は,「症状の原因となる器質的,全身性,代謝性疾患がないにもかかわらず,慢性的に心窩部痛や胃もたれなどの心窩部を中心とする腹部症状を呈する疾患」と定義されている。器質的疾患を除外することで診断される症候群である。
    診療ガイドラインは実臨床のために作成されており,国際的なRome IV診断基準は臨床研究で用いるために,FDが定義されている。

    ▶診断のポイント

    上腹部症状があるものの,採血検査,内視鏡検査,腹部エコー,腹部CT検査などで異常所見を認めないことで診断される。また主要症状により,①食後のもたれ感,早期満腹感を主体とした食後愁訴症候群(postprandial distress syndrome:PDS),②心窩部痛,心窩部灼熱感を主体とした心窩部痛症候群(epigastric pain syndrome:EPS)の2群に亜分類される。

    Helicobacter pylori(H.pylori)感染がある場合には,H. pylori関連ディスペプシアの可能性を考え,まずは除菌治療を行い,症状が残存する場合にFDとして治療を行う。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    患者が満足する症状の改善を第一の治療目標とする。

    ディスペプシア症状は,日々変化することがあるため,定期的に症状を聴取しながら治療効果を判定する。また,治療開始後短期間での症状改善が得られないことも多く,4~8週間程度は同一治療を継続して効果を判定する。効果が得られない場合には,漫然と同一薬剤を使用するのではなく,その他の種々の治療法を考慮する。

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