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進行性腎細胞癌に対する免疫チェックポイント阻害薬の使い方は?

No.5099 (2022年01月15日発行) P.54

井上貴博 (三重大学大学院医学系研究科腎泌尿器外科教授)

神波大己 (熊本大学大学院生命科学研究部 泌尿器科学講座教授)

登録日: 2022-01-17

最終更新日: 2022-01-11

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  • 転移を認める腎細胞癌に対しては免疫チェックポイント阻害薬と分子標的治療薬,あるいは2種類の免疫チェックポイント阻害薬を併用することが標準的な治療選択となってきましたが,組み合わせが複数あるので治療薬選択が難しくなっています。先生のご意見をお聞かせ下さい。
    熊本大学・神波大己先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    井上貴博 三重大学大学院医学系研究科腎泌尿器外科 教授


    【回答】

    【めざすべきゴールに最適な特長を有する複合免疫療法のレジメンを選択する】

    まず前提として,International Metastatic RCC Database Consortium(IMDC)によるリスク分類,いわゆるIMDCリスク分類において,進行性腎細胞癌の患者が診断時に低・中・高リスクのうちどのカテゴリーに入るのかを知る必要があります。複合免疫療法のうちIO(免疫療法薬)-IO comboであるイピリムマブ+ニボルマブの併用療法はIMDC低リスク患者には使用できないからです。

    IMDC低リスク患者に対しては,IO-TKI(チロシンキナーゼ阻害薬)combo(執筆時点ではアベルマブ+アキシチニブ,ペムブロリズマブ+アキシチニブ,ニボルマブ+カボザンチニブのいずれか)が選択可能です。一方,IMDC中・高リスク患者に対してはIO-IO,IO-TKIのいずれの複合免疫療法レジメンも選択可能です。

    各comboの使い分けの基準を明確にするデータは存在しませんが,ランダム化比較試験(randomized control trial:RCT)の結果からある程度の特長は見えてきています。

    Grade 3以上の免疫関連有害事象(immune-related adverse event:irAE)の頻度の観点からは,アベルマブ+アキシチニブ(9.0%)が最も安全で,次いでペムブロリズマブ+アキシチニブ(13.1%),ニボルマブ+カボザンチニブ(16.3%)で,イピリムマブ+ニボルマブ(26.7%)が最も注意を要するレジメンとなっています。複合免疫療法における薬剤中止率はイピリムマブ+ニボルマブ(22.7%)が最も高く,ニボルマブ+カボザンチニブは約7%と非常に継続しやすいレジメンであることが示唆されます。

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