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熱性けいれん[私の治療]

No.5086 (2021年10月16日発行) P.47

柿本 優 (東京大学医学部附属病院小児科)

登録日: 2021-10-19

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  • 熱性けいれん(febrile seizures)は,主に6〜60カ月までの乳幼児期に起こる。通常は38℃以上の発熱に伴う発作性疾患で,髄膜炎などの中枢神経感染症,代謝異常,その他の明らかな発作の原因がないもので,てんかんの既往のあるものは除外される。わが国での有病率は7〜11%とされる。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    発作の多くは全身強直・強直間代けいれんであるが,左右差を認めるけいれんや,けいれんを伴わずに意識障害や脱力を呈するような焦点性発作の場合もある。発作は5分以内におさまることが多い。

    止痙後に四肢の強直や眼球偏位を認めることがあり(nonepileptic twilight state with convulsive manifestations:NETC),発作持続と誤認しやすい1)。閉眼している場合は発作持続ではない可能性が高い。また,発作後に一過性の運動麻痺を生じることがあり(Todd麻痺),長い場合には1日以上残存する。

    【検査所見】

    熱性けいれんに特異的な検査所見はない。髄膜炎や急性脳炎・脳症等を鑑別する目的で血液検査・髄液検査や脳波検査,頭部画像検査を考慮するが,ルーチンで行う必要はない。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    発作が持続している場合には,まず気道確保および呼吸と循環の安定化を行った上で,抗けいれん薬による止痙を試みる。ただしNETCを発作持続と誤認し抗けいれん薬を不必要に投与してしまうことは避ける。止痙後は発作の原因検索を行う。

    熱性けいれんは一般的に予後良好で特別な管理を要しないことが多いが,再発リスクを評価し個々に適切な治療方針を決定する。

    残り1,470文字あります

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