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瓢箪づくり[プラタナス]

No.5084 (2021年10月02日発行) P.3

木村 充 (国立病院機構久里浜医療センター精神科診療部長)

登録日: 2021-10-02

最終更新日: 2021-09-29

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  • Aさんは、会社員を定年退職した後、奥様と2人で悠々自適に過ごしていた。現役時代から好きな晩酌は続けていたが、特に問題となることはなかった。様子が変わったのは、突然奥様に先立たれてから。朝から飲酒してあまり食事も摂らなくなり、よく転んで怪我をするようになった。息子に連れられて依存症外来に受診し、渋々入院。退院後は断酒を続け、「孫が寄ってくるようになった」と喜んでいたが、退院1年のお祝いとして、一杯乾杯をしたら、それからまた飲酒が続くようになってしまった。

    しかし、2回目の入院後は断酒会に参加し、仲間とともに8年間断酒を続けている。そんなAさんの楽しみは瓢箪づくり。市民農園を借りて、ひと夏をかけて野菜と瓢箪をつくる。収穫した瓢箪は、きれいに洗って天日で干し、色とりどりに折り紙を張る。出来あがった瓢箪は大きさも形も一つひとつ違って、どこか面白みがある。朴訥としたAさんの人柄を表しているようである。

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