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アトピー性皮膚炎の治療法選択・効果判定に使用すべき適切な評価方法は?

No.5071 (2021年07月03日発行) P.46

沖山奈緒子 (筑波大学医学医療系皮膚科講師)

井川 健 (獨協医科大学医学部皮膚科学講座教授)

登録日: 2021-07-06

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  • 近年,アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis:AD)には,シクロスポリン内服に加えて,抗IL-4/13受容体抗体やJAK阻害薬内服をはじめとした全身的治療法が誕生してきており,また外用薬としてもJAK阻害薬が使用できるようになりました。選択肢が増えた分,治療法選択や効果判定のためには,患者の重症度を正確に把握する必要があります。診療に取り入れるべきADの重症度評価法についてご教示下さい。
    獨協医科大学・井川 健先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    沖山奈緒子 筑波大学医学医療系皮膚科講師


    【回答】

    【客観的評価項目と主観的評価項目を組み合わせる】

    まず,重症度に見合った治療プラン,治療薬剤の選択は医療の基本であり,ADでもそうあるべきであることは論を俟ちません。しかし,現時点でADの重症度をバイオマーカー1つで評価できるような方法はありません。そのため,信頼性を担保できる客観的評価システムと自覚的評価システムをいくつか(最低限がよい)組み合わせて評価していくしかありません。

    実際,ADの重症度評価がどのようになされていたかといえば,実は1990年代初めに至るまで,いわゆる標準的な評価法は確立されていませんでした。1993年にSCORing Atopic Dermatitis(SCORAD)が,さらに2001年にEczema Area and Severity Index(EASI)の有用性が提唱され,ようやく世界的標準として使用に耐えうる重症度評価法が確立されてきました。そのような中で,2008年にADの重症度評価の標準化を目的としたHO ME(Harmonising Outcome Measures for Eczema)(http://www.homeforeczema.org/)が設立され,定期的なmeetingが開催され,そこで話し合われた結果が推奨事項として提唱されるようになりました。

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