株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

鼻出血[私の治療]

No.5062 (2021年05月01日発行) P.52

羽生 昇 (国家公務員共済組合連合会立川病院耳鼻咽喉科部長事務代行)

登録日: 2021-04-30

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
    • 1
    • 2
  • next
  • 鼻出血の約70~80%はKiesselbach部位(鼻中隔軟骨部前下方)からの出血である。正しい圧迫指示により,患者自身で止血することも可能である。止血が完了するまでは重症化の可能性があることを念頭に置く。

    ▶病歴聴取のポイント

    問診前:出血が続いている場合は,興奮状態にあることが多いため,まず患者を落ち着かせ,坐位で下を向き,患者自身の拇指・示指で両側鼻翼をつまんで,鼻中隔前方を圧迫させながら問診を開始する。下を向くことで,血液が鼻から口腔へ回りづらくなる。
    発症経緯:外傷,異物,腫瘍などの局所的要因,抗血小板薬・抗凝固薬内服などの全身的要因の有無,出血時間・出血量について聴取する。

    ▶バイタルサイン・身体診察のポイント

    【バイタル】

    バイタルサインは圧迫姿勢のまま確認する。このとき血圧は高いことが多い。

    【身体診察】

    大量出血を疑う場合は,貧血のチェック,血管確保,血液検査,経時的血圧測定を行う。低容量性ショック(「ショック」の稿参照)のサインを見逃さない。止血が完了するまでは重症化の可能性があることを念頭に置く。また,血液を飲み込んでいるため,嘔吐する可能性も考えておく。

    残り934文字あります

    会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する

    • 1
    • 2
  • next
  • 関連記事・論文

    もっと見る

    関連書籍

    もっと見る

    関連求人情報

    関連物件情報

    もっと見る

    page top