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腎疾患領域における臨床研究について

No.5058 (2021年04月03日発行) P.44

石橋由孝 (日本赤十字社医療センター腎臓内科部長)

栗田宜明 (福島県立医科大学附属病院 臨床研究教育推進部部長・特任教授)

登録日: 2021-04-06

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  • 腎疾患領域における臨床研究についてご教示下さい。福島県立医科大学附属病院・栗田宜明先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    石橋由孝 日本赤十字社医療センター腎臓内科部長


    【回答】

     【臨床試験や実臨床データの収集・分析を通じて医療の改善に貢献している】

    腎臓臨床でも臨床研究は多彩です。治験やランダム化比較試験のように,治療薬の安全性や有効性を調べる臨床試験は想起しやすいでしょう。透析患者の臨床試験では,シナカルセトによる心血管イベント・死亡の抑制効果を調べたEVOLVE研究1)や,活性型ビタミンD(アルファカルシドール)内服による心血管イベント抑制効果を調べたJ-DAVID研究が代表例です2)

    他方,実地臨床をベースにした臨床研究も顧みられています。臨床試験の多くは大学病院や大規模な医療施設で行われ,選び抜かれた患者が対象になります。しかし,その状況は大多数の透析患者には必ずしもあてはまりません。二次性副甲状腺機能亢進症を合併したわが国の血液透析患者の実地臨床データを分析したMBD-5D研究からは,特にPTHの高い症例に対してシナカルセトを開始するほうが,心血管イベント・死亡が抑制されることがわかりました3)。臨床試験であるEVOLVE研究では,より若年の患者が研究対象でした。このように,実際の患者での有効性を確認することも重要です。

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