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子宮内膜症[私の治療]

No.5056 (2021年03月20日発行) P.40

原田 省 (鳥取大学医学部産科婦人科学分野教授・附属病院病院長)

登録日: 2021-03-23

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  • 子宮内膜症(endometriosis)は,子宮内膜あるいはその類似組織が,子宮外で発育・増殖する疾患である。良性にもかかわらず,元来,子宮内腔に存在する内膜組織が異所性に増殖・浸潤して周囲組織に強固な癒着を形成する腫瘍性の性格を持つ。

    ▶ 診断のポイント

    子宮内膜症は,腹腔鏡検査あるいは開腹手術による肉眼所見によって確定診断される。日常診療においては,自覚症状,診察および画像所見から総合的に診断された場合を「臨床子宮内膜症」として取り扱う。産婦人科専門医による臨床子宮内膜症の正診率はおよそ80%といわれている。子宮内膜症の症状は,下腹痛,腰痛,排便痛などの月経時疼痛(月経困難症)であり,ほとんどの患者に認められる。月経時以外に腹痛や性交痛を訴えることも多い。子宮内膜症患者のおよそ半数が不妊を合併することから,不妊の訴えも内膜症を診断する上で重要な問診事項である。

    ▶ 私の治療方針・処方の組み立て方

    子宮内膜症治療は,薬物療法と手術療法に大別される。患者の年齢,現在および将来の挙児希望の有無,既往治療等を考慮して治療法の選択をする。薬物療法には消炎鎮痛薬による対症療法,および症状軽減と病変の進展抑制を目的とするホルモン療法がある。排卵抑制により無月経をもたらすホルモン療法は,治療中には妊娠を望めないし不妊に対する効果は認められていない。

    月経痛を主症状とする「臨床子宮内膜症」症例や軽症例に対しては,消炎鎮痛薬,低用量エストロゲン・プロゲスチン製剤(low-dose estrogen progestin:LEP)あるいはプロゲスチンを投与する。重症例にはLEPの連続投与,プロゲスチン,GnRHアゴニストなどを選択する。

    腹腔鏡による手術療法は,自然妊娠を望む場合,薬物療法に抵抗する疼痛や卵巣チョコレート囊胞が大きい場合などに行う。卵巣チョコレート囊胞に対する囊胞摘出術が行われると,囊胞壁とともに正常卵巣組織も摘出されて卵巣予備能が低下することが指摘されている。将来の妊孕能温存を考えると,薬物療法を多用して再手術を避けることを心がける。術後の再発予防には,LEPあるいはプロゲスチンによる薬物療法を継続する1)

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