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前立腺腫瘍[私の治療]

No.5055 (2021年03月13日発行) P.37

大東貴志 (国際医療福祉大学三田病院副院長・同大学医学部教授)

登録日: 2021-03-14

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  • 前立腺腫瘍(前立腺癌)は高齢男性に多い疾患で,罹患者数は欧米の多くの国で男性悪性腫瘍中最も多く,日本でも同様となりつつある。

    ▶診断のポイント

    多くは無症状である。近年では,検診や排尿障害のスクリーニングとして行われた血清PSA検査値の異常を契機として発見される場合が多い。前立腺MRIではT2強調画像で低信号,拡散強調画像では拡散能低下,造影では早期より染まる病変として描出される。確定診断は経直腸あるいは経会陰的前立腺針生検による病理組織的検査による。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    診断が確定したら,Gleason scoreによる悪性度の評価と画像による病期の評価を行い,治療方針を決定する。

    ▶治療の実際

    【限局性前立腺癌】

    血清PSA値,Gleason scoreおよび臨床的病期によりリスク分類を行い,治療方針をたてる。予後は比較的よい。各治療法に優先順位はなく,合併症も異なるため,年齢・基礎疾患・ライフスタイルなどを考慮し,患者の意見も交えて総合的に決定する。

    〈監視療法〉

    低リスクで生検の陽性コア数が2本以下の場合,患者の希望により当初は治療せず経過観察のみを行う。3~6カ月ごとのPSA検査を行い,これや画像により進行が認められた場合,あるいは1~3年ごとの再生検でGleason scoreの進行があった場合,治療介入する。

    〈外科的治療〉

    腹腔鏡下あるいは医療用ロボットを用いたリンパ節郭清を含む前立腺全摘除術を行う。画像で血管神経束付近の被膜浸潤の可能性が低ければ,積極的に神経温存を行っている。

    〈放射線治療〉

    外照射療法と組織内照射療法(密封小線源療法)がある。

    ・外照射療法

    周囲臓器に当たる線量を減らしつつ,前立腺組織に高線量を当てる強度変調放射線治療(IMRT)や画像誘導放射線治療(IGRT)を行う。線量としては76~80Gyを当て,中リスクでは治療前より6カ月,高リスクでは2年間のホルモン療法を併用する。施設は限られているが,陽子線,重粒子線治療も選択肢のひとつである。

    ・組織内照射療法

    低リスク・中リスクの一部に対して,125Iを用いた永久挿入密封小線源療法(LDR)を行う。高リスクに対しては,外照射併用およびホルモン治療併用を行う。

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