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高齢フレイル保存期CKD患者の透析導入の是非はどう考えるべきか?

No.5049 (2021年01月30日発行) P.43

柴垣有吾 (聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授)

石橋由孝 (日本赤十字社医療センター腎臓内科部長)

登録日: 2021-01-31

最終更新日: 2021-01-28

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  • 高齢でフレイル(肉体的・精神的・経済的・社会的)のある保存期慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者に透析導入すべきかの判断は,何を指標とすればよいのでしょうか。治療・管理を考える上で,患者志向アウトカムと医学的アウトカムのバランスはどうとるべきでしょうか。日本赤十字社医療センター・石橋由孝先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    柴垣有吾 聖マリアンナ医科大学腎臓・高血圧内科教授


    【回答】

     【患者(と支援者)の希望を支え,苦痛を最小化し,最後まで支援する】

    (1)フレイルのある高齢CKD患者に透析導入すべきかの判断基準

    高齢フレイルのCKD患者が透析療法を導入した場合の生命予後は短いです(1年生存率50%程度とする報告もあります)。透析導入は,医療側が患者と支援者側に情報提供し,患者と支援者側は医療側にその先の生き方の希望を伝え,合意形成しながら進めていくことが必要です。日常社会生活に支障をきたすほどの症状をきたす場合には,積極的に透析導入が検討されます。

    患者はフレイルで予備能が少ないため,苦痛軽減(身体的,心理的・社会的)もとりわけ重要です。医療側が,透析治療(腹膜透析,血液透析,その併用)の柔軟なオプションを持ち提示できる準備ができていれば,変化していく状況を支えやすくなります。

    医療側は治療を積極的に検討していくことが前提ですが,高齢患者は生物学的な死が近い方々であり,その状況での希望は個別性が高く,本人や周囲の方から話をしっかりと聞くことが治療生活を具体化していくに際して重要です。

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