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肝癌に対する新しいシステムを用いたマイクロ波焼灼術について

No.5043 (2020年12月19日発行) P.44

今城健人 (横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室講師)

椎名秀一朗 (順天堂大学大学院医学研究科 消化器画像診断・治療学教授)

登録日: 2020-12-22

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  • 肝癌に対する新しいシステムを用いたマイクロ波焼灼術について,順天堂大学・椎名秀一朗先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    今城健人 横浜市立大学医学部肝胆膵消化器病学教室 講師


    【回答】

     【新世代マイクロ波焼灼術は短時間で大きな範囲を安定して焼灼できる】

    肝切除とラジオ波焼灼術のランダム化比較試験(SURF trial)の結果が公表され,無再発生存率においても両者に差は認められないことが判明し,アブレーションへの関心が高まっています。肝悪性腫瘍に対するアブレーションとしてわが国ではラジオ波焼灼術(radiofrequency ablation:RFA)が広く実施されてきましたが,2017年に新世代マイクロ波治療機器EmprintTM Ablation Systemが薬事承認され,多くの施設で新世代マイクロ波焼灼術(new-generation microwave ablation:n-MWA)も実施されるようになってきました。

    RFAとn-MWAは類似した治療法であり,いずれも超音波ガイド下に,経皮的に,アプリケーター(RFAでは「電極」,n-MWAでは「アンテナ」と呼ばれる)を腫瘍に挿入し,熱で周囲の組織を壊死させます。一方で,RFAとn-MWAでは異なる点もあります。RFAでは450kHzの高周波を使い,その電流と抵抗との摩擦によって熱(ジュール熱)を発生させるのに対し,n-MWAでは2450MHzの高周波を使い,水分子を回転させ,摩擦によって熱(摩擦熱)を発生させます。また,RFAの電極は金属製で17Gであるのに対し,n-MWA“EmprintTM”のアンテナはグラスファイバー製で13Gです。診療報酬は,RFAは2cm以内が15000点,2cm超が21960点であるのに対し,n-MWAは17410点です。

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