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扁平足(成人期)[私の治療]

No.5040 (2020年11月28日発行) P.34

仁木久照 (聖マリアンナ医科大学整形外科学講座主任教授)

登録日: 2020-11-28

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  • 扁平足とは,足のアーチ構造が破綻し,土踏まずが消失する足部変形である。成人では,内果周辺での後脛骨筋腱の変性断裂による後脛骨筋腱機能不全(PTTD)が最も多い。PTTDでは後脛骨筋腱が断裂し,足底の諸靱帯がゆるみ,扁平足となる。中年期以降の女性や肥満体型に多い1)。他の誘因には,足関節周囲の外傷や手術の既往,スポーツなどでのオーバーユース,扁平足の既往,などがある。

    ▶診断のポイント

    【症状】

    中年期以降の女性で,明らかな外傷の既往がなく,長時間の立位や歩行を契機に,内果後下方の疼痛と腫脹をみた場合は本症を疑う。疼痛は安静で軽快,立位や歩行で増強する。扁平足が進行すると,立位で患側の踵骨は外反し前足部が外転するので,後方からの観察で外側趾の数が多く見える(too many toes sign)。片脚つま先立ちでは,踵骨は外がえしのままで完全に離床できない(single heel rise test陽性)。

    【検査所見】

    腱損傷を確定診断するにはMRIが有用である。撮像条件がそろわないと所見を見逃すので,足の外科あるいは骨軟部疾患に詳しい放射線診断専門医のいる医療機関に依頼する。超音波検査では動的な評価も可能である。

    足根骨の位置異常から変形の程度を評価する。荷重時単純X線正面像,側面像,後足部撮影が必須である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    MRIによる腱損傷の有無,荷重時X線による変形の有無と程度,足部可撓性(後足部外反と前足部回外を徒手的に矯正できれば可撓性あり)を評価し,stage分類し,治療方針をたてる。
    stage分類は,腱損傷はあるが扁平足がないstage 1,徒手的に変形矯正が可能な可撓性扁平足のstage 2,徒手的に変形矯正ができない非可撓性扁平足のstage 3,それに外反型変形性足関節症を伴えばstage 4と分類する。

    さらに扁平足変形が重度になると下腿三頭筋~アキレス腱のtightnessを伴う。他動的に扁平足を矯正したまま膝屈曲・伸展位で足関節を背屈しtibio-pedal angleを計測する。腓腹筋腱膜切離かアキレス腱延長を併用するかの判断材料になる。

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