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原発性心臓腫瘍(悪性)[私の治療]

No.5014 (2020年05月30日発行) P.36

瀬戸達一郎 (信州大学医学部外科学教室心臓血管外科学分野教授)

登録日: 2020-05-28

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  • 原発性心臓腫瘍は稀な疾患であり,その多くは良性腫瘍である。悪性腫瘍の占める割合は20%程度である。悪性腫瘍は,原発性心臓腫瘍,転移性心臓腫瘍,血管内伸展があり,本稿では原発性の悪性心臓腫瘍について述べる。悪性腫瘍の中では肉腫が70~80%を占めており,また,肉腫の中では50%以上を血管肉腫(angiosarcoma),横紋筋肉腫(rhabdomyosarcoma)が占め,その次に中皮腫(pericardial mesothelioma),線維肉腫(fibrosarcoma),リンパ腫(lymphoma),そして骨肉腫(osteosarcoma)が続く。

    ▶診断のポイント

    原発性心臓悪性腫瘍に特異的な症状はなく,腫瘍の増大や浸潤により心囊液貯留や右心系への流入障害,不整脈,腫瘍塞栓を引き起こし,心タンポナーデ,右心不全,上大静脈症候群,肺塞栓など,多彩な臨床症状を呈する。心臓腫瘍を疑われる場合は,心臓超音波検査,CT・MRIなどの画像検査が有用である。

    ▶私の治療方針・検査の組み立て方

    【心電図】

    特異的な心電図所見はないが,非特異的ST-T変化,低電位,洞性頻脈を認めることもある。

    【胸部単純写真】

    腫瘍陰影や心陰影の拡大を認めることがあるが,心拡大も胸水貯留も認めない症例もある。

    【心臓超音波検査】

    血管肉腫は右房に発生することが多く,右房自由壁より心外膜にかけて塊状エコーを認め,多量の心囊液貯留を認めることが多い。

    【CT】

    腫瘍全体の広がりや周囲臓器との関係の評価に優れている。また,悪性腫瘍の場合,診断がついた時点で既に遠隔転移を認めることも多く,PET-CTは腫瘍細胞の代謝活性を画像化でき,転移病巣の有無や治療効果判定に有用である。

    【MRI】

    CT同様に近接臓器への進展や広がりを確認するためにMRIは有用である。血管肉腫では腫瘍内部の信号強度は不均一で,Gd-DTPAによる増強効果を示す。線維肉腫では,T1強調画像で内部不均一もしくは心筋と同様の輝度を示す。また,T1およびT2強調画像ともに,壊死や出血領域を伴った不均一の腫瘤もしくは心筋と等輝度の腫瘍として描出されることもある。Gd-DTPAによる造影MRIは,腫瘍と周囲組織,周囲の浮腫,腫瘍内壊死,腫瘍内血流を評価でき,良性と悪性の鑑別に有用である。

    【心臓血管造影検査】

    良性腫瘍同様に腫瘍への栄養血管を描出したり,腫瘍による陰影欠損を認める。

    【病理組織診断】

    術前の組織診断は重要で,心腔内からの心筋生検用の鉗子による組織生検や,転移巣からの生検が行われるが,確定診断ができないこともある。

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