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胃・十二指腸憩室[私の治療]

No.5013 (2020年05月23日発行) P.49

藤森俊二 (日本医科大学千葉北総病院消化器内科教授)

登録日: 2020-05-25

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  • 胃憩室は,多くは穹窿部,次に前庭部に0.1~0.3%程度に認められる真性憩室で,基本的に無症状で治療は必要ない。稀に,大きな憩室では食後の心窩部膨満感,胸部痛,胸焼け,嘔吐,憩室炎,出血などが起こり治療対象となる。
    十二指腸憩室は仮性憩室が多く,大部分は乳頭の近接部に生じ,1~3cmと比較的大きい。十二指腸は細菌が少なく,憩室も大きいため,細菌感染を起こすことは稀であり,臨床上問題となるのはレンメル症候群が大半である。レンメル症候群とは,傍乳頭部の憩室が乳頭開口部の圧迫に関与して,胆汁や膵液の排出を妨げて胆管や膵管のうっ滞をきたし,二次的に炎症や黄疸を引き起こす症候群である。レンメル症候群以外では,きわめて稀に憩室炎や憩室出血が起こる。

    ▶診断のポイント

    胃・十二指腸憩室は,十二指腸乳頭部程度までにある場合には,上部消化管内視鏡検査で指摘可能である。上部消化管内視鏡検査では観察困難な十二指腸肛門側にある場合には,小腸内視鏡検査か上部消化管造影検査を行わないと指摘は困難である。内視鏡検査では,憩室内に潰瘍などを認めないか可能な限り観察する。

    レンメル症候群では胆管炎や膵炎を発症するため,血液検査で異常が認められる。CT検査等で診断を行う。

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