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リンパ浮腫をどげんかせんといかん![プラタナス]

No.5011 (2020年05月09日発行) P.3

三原 誠 (JR東京総合病院リンパ外科・再建外科)

登録日: 2020-05-09

最終更新日: 2020-05-01

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  • 当診療チームは、これまで不治の病とされたリンパ浮腫を専門に扱う診療科として、日本で初めて結成された。年間手術件数は500肢を超え(世界一の件数)、外科医とリンパ浮腫療法士がOne Teamで、全国のリンパ浮腫患者さんの治療を行っている。

    ある日、家族に連れられて92歳の女性が来院した。表情は硬く、生下時よりあったという左下肢の巨大リンパ浮腫のため、大腿周径は1mほどもあった。リンパ管異常は縦隔内にも及び、致命的になりうるコントロール不能な乳糜胸水があったため、当院紹介となった。

    治療の選択肢は2つ。現状を甘受して自宅で心負荷がかからない程度の圧迫療法を行うか、積極的な圧迫療法と手術できれいな足にするか。外科医としての矜恃から、手術を行い、整容的にも機能的にも満足できる足にしてあげたいと思った。しかし、両腕で抱えるほどの皮膚・リンパ組織を安全に切除できるか、葛藤もあった。医師、看護師、理学療法士、あん摩マッサージ指圧師、医療秘書からなるチーム内でも様々な意見があり、何度も討論した。最後にご本人の治療希望を聞いたところ、90年以上悩み諦めていた病気を治療することを心から望み、はっきりと「リスクがあったとしても手術を受けたい!」と意思表示をされたことでチームの覚悟が決まった。

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