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大動脈弁狭窄症[私の治療]

No.5011 (2020年05月09日発行) P.56

房崎哲也 (岩手医科大学内科学講座循環器内科分野准教授)

森野禎浩 (岩手医科大学内科学講座循環器内科分野教授)

登録日: 2020-05-06

最終更新日: 2020-04-30

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  • 大動脈弁狭窄症(aortic stenosis:AS)は,主に硬化性変化に伴う大動脈弁の開放制限により起こる。これに伴い,左室負荷(後負荷)の増大,求心性肥大を引き起こし,拡張能低下や左心室内膜側の虚血を引き起こす。ASの生命予後は不良である。3大症状としての狭心症状発現からは5年,失神からは3年,息切れ(心不全)からは2年と言われており,無治療の場合,75%が症状発現から3年以内に死亡するという報告もある。ASの成因は,加齢変性,先天性,リウマチ熱由来に分類される。二尖弁などの先天性の場合は,加齢に伴い症状が出現したり,上行大動脈の拡張を伴うことが多い。リウマチ熱由来のものは,交連部の癒合が特徴とされている。ASは進行性の疾患であり,加齢変性では弁口面積が年0.1cm2低下すると言われている。先天性やリウマチ熱由来によるものは進行が早く,早期に手術介入する場合が多い。

    ▶診断のポイント

    ASは前述した3大症状が特徴的とするが,年齢による息切れや疲労感だと思っていても,ASの症状である可能性が潜んでいる。聴診所見では,収縮期駆出性雑音や頸部への放散を認め,重度ASの場合,遅脈を認める。

    治療の判断基準としては,有症候性であるかどうかがポイントとなるが,客観的な重症度判定としては,心エコー図検査所見が重要である。平均圧較差>40mmHg,最大血流速度>4.0m/秒および弁口面積<1.0cm2もしくは弁口面積係数<0.6cm2/m2が重度となり1),一般的に治療介入が必要となる。ただし,左室流出路狭窄や大動脈弁閉鎖不全症がある場合は,ASを過大評価することがある。

    逆に左室内腔狭小化に伴う場合や虚血などによる収縮力低下の場合などでは,1回拍出量が減少し,ASを過小評価することがある。特に,一見圧較差はそれほどでもないが,心収縮力が低下している“low flow-low gradient AS”の場合は,ドブタミン負荷心エコー図検査が必要である。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    【中等度以下のAS】

    検査上圧較差が中等度までの場合,症状の有無を確認しながら定期的な心エコー図検査を予定する。ただし,二尖弁などの先天性ASの場合は,左室収縮力,左室内腔径および上行大動脈径などを総合的に判断し,治療介入時期を見極めるべきである。

    【重度AS】

    治療介入の適応となる。治療方法としては,①経皮的大動脈弁バルーン拡張術(balloon aortic valvuloplasty:BAV),②経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic valve implantation:TAVI),③外科的大動脈弁置換術(surgical aortic valve replacement:SAVR)などが挙げられる。

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