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マイコプラズマ感染症[私の治療]

No.5002 (2020年03月07日発行) P.43

尾内一信 (川崎医科大学小児科学教授)

登録日: 2020-03-09

最終更新日: 2020-03-04

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  • マイコプラズマ感染症は,Mycoplasma pneumoniaeが飛沫感染と接触感染によりヒトからヒトに気道に感染して起こる呼吸器感染症である。潜伏期は通常2~3週間で,経過に従い咳は徐々に強くなる。かぜ症候群から急性上気道炎,気管支炎,肺炎と上気道から下気道まで病型は多彩である。M. pneumoniaeは,非定型肺炎の主要な原因である。わが国では2000年頃からマクロライド耐性マイコプラズマが増え,第一選択薬であるマクロライド系薬の効果が期待できないケースが増えてきた。マクロライド耐性率は,2012年に約80%とピークに達したが,その後徐々に低下し,2018年には約20%まで改善してきた。
    マイコプラズマ感染症は,以前はオリンピック病と言われ,1990年頃まではずっと4年周期でオリンピックイヤーに流行していた。1990年以降,4年周期の流行はみられなくなったが,2011~2012年と2015~2016年と最近になって4年周期の流行が戻ってきた。
    マイコプラズマ感染症は,無菌性髄膜炎,脳炎,肝炎,膵炎,溶血性貧血,心筋炎,関節炎,ギラン・バレー症候群,スティーブンス・ジョンソン症候群など,多彩な合併症を併発することがある。特異的な予防方法はなく,流行期には手洗い,うがいなどの一般的な予防方法の励行と,患者との濃厚な接触を避ける。

    ▶診断のポイント

    全身状態が良好な肺炎は,マイコプラズマ肺炎を疑う。理学的所見では聴診上乾性副雑音が多い。稀に,胸部X線上異常陰影があっても聴診上異常を認めない症例があり,胸部X線検査が欠かせない。周囲や地域の流行情報は診断の参考になる。また,白血球数が正常ないし低下,CRPが正常ないし軽度上昇であれば,マイコプラズマ肺炎の可能性が高い。

    病原微生物の特異的な診断法として,免疫クロマト法の迅速診断法やloop-mediated isothermal amplification(LA MP)法などの核酸増幅法が保険収載されている。血清診断では,粒子凝集法(particle agglutination:PA)や酵素抗体法(enzyme-linked immunosorbent assay:ELISA)などを用いる。

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