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埋伏歯[私の治療]

No.5001 (2020年02月29日発行) P.48

山本信治 (東京歯科大学口腔顎顔面外科学講座講師)

登録日: 2020-02-27

最終更新日: 2020-02-26

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  • 埋伏歯とは,歯の萌出異常のひとつで,萌出時期を過ぎても歯冠の全部あるいは一部が萌出せずに歯肉下あるいは顎骨内に残留している歯をいう。歯が完全に顎骨内にある完全埋伏歯と歯冠の一部が口腔内に露出している不完全埋伏歯がある。多数の埋伏歯は内分泌機能障害,くる病,遺伝的疾患などの全身的原因が考えられ,少数の埋伏歯の場合は萌出部位の不足,歯胚の位置や萌出方向の異常などの局所的原因が考えられる。
    本稿では,埋伏歯周囲の歯冠周囲炎(特に智歯周囲炎)について示す。

    ▶診断のポイント

    【代表的症状】

    ①初期には,歯肉に軽度の発赤と腫脹が発現する。

    ②自発痛,圧痛ともに軽度であるが,炎症の進行とともに持続的疼痛が顕著となり,開口障害や嚥下痛が現れる。

    ③顎下リンパ節の腫脹や圧痛を伴う。

    ④体温が37~38℃前後に上昇し,盲囊からの排膿もみられる。

    ⑤炎症が進行すると隣接組織への重篤な化膿性炎症を継発する。

    ⑥特に,強い自覚症状がないまま歯冠周囲炎が進行した場合や,急性下顎智歯周囲炎症状の発現と消退を繰り返す場合には,慢性下顎智歯周囲炎となる。

    ⑦慢性下顎智歯周囲炎では軽度の違和感や圧痛があるほか,著明な自覚症状を欠く場合が多い。急性発作を起こすと急性下顎智歯周囲炎と同様の症状を呈する。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    ①慢性下顎智歯周囲炎では歯冠周囲の骨吸収像がみられる。

    ②特に,智歯が近心に傾斜している場合,歯冠下方の歯槽骨に不正三角形,歯冠遠心の歯槽骨に三日月様の骨吸収像が認められる。

    残り427文字あります

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