【質問者】
大石明生 京都大学大学院医学研究科眼科学教室
【網膜症自体に対するわが国での適応は困難。Ang2阻害との相乗効果に期待】
米国では黄斑浮腫の有無にかかわらず,糖尿病網膜症に対する抗VEGF療法が米国食品医薬品局(Food and Drug Administration:FDA)により承認されています。一方,わが国では糖尿病黄斑浮腫や加齢黄斑変性などに対する抗VEGF療法の薬剤費が,眼科医療費全体の約1割に達しており,糖尿病網膜症自体への適応拡大は困難ではないかと考えられます。
わが国における糖尿病黄斑浮腫の治療では,ステロイド(トリアムシノロンアセトニド)の硝子体内またはテノン囊下投与も承認されています。さらに欧米では,フルオシノロンアセトニドやデキサメタゾンの硝子体内インプラント製剤も用いられています。これらのステロイド療法では,抗VEGF療法に比べて長期間の治療効果が期待できる反面,眼圧上昇や白内障などの副作用が懸念されます。しかし抗VEGF療法抵抗性の糖尿病黄斑浮腫でも,ステロイド療法により治療効果が得られることがありますので,副作用を低減した抗炎症薬の開発が待望されています。
残り689文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する